耳鳴りはどんな症状
耳鳴りの症状は誰でも起こる
耳鳴りは誰もが一度は経験した事があるはずです。何かのはずみで耳が塞がった状態にキーンといった音が聞こえたりしませんでしたか?
色んな生活音がする昼間から静かな夜になった時や、防音室や地下室などの外部の音が一切聞こえない場所に入った時、耳の中で音が響くのが聞こるケースもあります。
他にも鼻を噛むときに力んだ時に耳の中から音が聞こえる事もあります。これらは全て耳鳴りであり、健康な方でも起こる症状です。
しかし、これらの耳鳴りは一過性であり誰にでも起こる事ですが、何日も続いたり不快感が続く場合は何らかの症状によって起こっていると考えられます。
耳鳴りが全て病気による物ではないので、「耳鳴り=病気」だと間違えないように気を付けてください。
今回は耳鳴りについて紹介していきます。耳鳴りを詳しく知る事で対策が出来るようになるでしょう。
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耳鳴りが起きる仕組み
耳鳴りとは何が起きている状態なのか?
耳鳴りは耳の奥(内耳)で音が響く事ですが、明確な原因やメカニズムに関しては未だ解明はされていないのが現状です。
以下の耳鳴りの仕組みは現在最も有力な考え方に基づいています。
通常なら体外から音が入ってくる事で音だと認識しますが、耳鳴りの場合は体外から音が入って来なくても耳の中で音が発生する状態を指します。
耳鳴りは外耳から大脳中枢まで音が伝わる聴覚路と呼ばれる経路があり、このいずれかに異常が発生した時に起こります。
しかし、大抵の耳鳴りの場合は難聴を伴い内耳にある蝸牛による障害が原因であると考えられています。
蝸牛による耳鳴りの場合ですが、内耳に到達した音の振動波を電気信号に変換する有毛細胞である感覚細胞に障害が起こり、過剰な信号が脳に送られている状態だと考えられます。
耳鳴りで悩んでいた偉人達
歴史上の偉人も耳鳴りに悩まされていた
耳鳴りは歴史上の偉人でも悩まされていたという話があります。
日本では俳諧師である小林一茶です。高齢を迎えてから耳鳴りが出るようになったのですが、こんな句を読んでいます。
「夜の霜 しんしん耳は 蝉の声」
耳鳴りの音が蝉の泣き声に聞こえていたようで、これを俳句にして苦悩を伝えようとしたかは分かりませんが、耳鳴りを上手に表現しています。
恐らくですが、蝉の泣き声っぽい耳鳴り音は「ジージー」という音だと思われます。耳鳴り音は金属音やセミの鳴き声と色んなケースがあるからです。
また、小林一茶の晩年は高血圧によるめまい・耳鳴り・難聴に苦しんでいたという記録もあります。
世界の偉人で見てみるとドイツの音楽家のベートーベンが耳鳴りに悩まされています。
幼少の頃から音楽の才能を発揮させてきたベートーベンですが、28歳頃から耳鳴りと難聴によって聴力をほとんど失っています。
有力な説としては、耳硬化症と呼ばれる病気で、内耳にある耳小骨の細胞が増殖以上を起こし硬化する事で聞こえが悪くなる物です。
ですが、ベートーベンは難聴や耳鳴りで聴力を失っても名曲を完成させています。
これらの偉人達でも耳鳴りに困っていたので、昔から怒っている症状とも言えるのです。
耳の構造と音の認識
耳を通じて音が認識されるまでの流れ
耳の構造は外耳・中耳・内耳の3つに分けられますが、耳鳴りが起きるのは内耳と呼ばれる部分です。
外から入ってきた音を中耳にある鼓膜と呼ばれる薄い膜があり、空気の振動を感じると細かく震える事で内耳へと伝えます。
鼓膜の内側にある部屋が中耳と呼ばれ、耳管と呼ばれる細い管で鼻の奥と繋がっており、あくびをしたり唾を飲み込むときに開いて空気を出して内外圧の調整を行っています。
あくびをした時やつばを飲み込むときに、耳の奥でプツっと聞こえる音は耳管が開いて空気が流れる音なのです。
また鼓膜の内側からツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という3つの骨が繋がっており、外から入ってきた音を奥へと伝えていきます。
そして中耳から奥に行くと内耳と呼ばれ、カタツムリの形をした蝸牛と呼ばれる器官があります。蝸牛の中にあるラセン器官と呼ばれる部位が音を感じる働きをしています。
音の振動は鼓膜・耳小骨を介して内耳に伝わり、らせん状をしてリンパ液が詰まっている蝸牛の前庭階と鼓室階を通って最後に蝸牛窓に達します。
蝸牛にはリンパ液が詰まっており、音波が鼓膜を震わせてツチ骨⇒キヌタ骨⇒アブミ骨の順で音が伝わってリンパ液を震わせて信号に変換し脳神経を通じて大脳へと伝えます。
この間、蝸牛管の中にあるラセン器官が振動を捕えて電気信号に変換し、蝸牛神経(聴神経)を通じて大脳にある聴覚神経へと伝えられ、はじめて音として認識されるのです。
耳の構造を理解し、耳鳴りが起きる仕組みを知っておけば予防も出来るようになります。